膝の内側・外側や裏側の痛みでお悩みの方へ
日常生活の中で、膝の痛みにお悩みではありませんか?
- 歩行時や、階段の昇降時に痛みが現れる
- 膝が痛いけれど、対処法が分からない
- 起床時に痛みが現れる
- 膝が痛いと子どもが訴えている
など
膝に痛みが生じることで、「立ち座りの動作がつらい」「長時間歩けない」「立ち仕事がつらい」など、日常生活に支障をきたします。また、膝の痛みが変形性膝関節症によって現れている場合、重症化してしまうと痛みが激しくなって歩行困難になり、状態次第では手術を検討する必要性も出てきます。
膝に多少なりとも違和感や痛みが出ていれば、早めに治療することが大切です。症状が出ている方は、できる限り早めに当院までご相談ください。
膝の痛みの原因となる疾患
変形性膝関節症
変形性膝関節症は、膝関節の骨の表面に存在する軟骨が徐々に摩耗して変形し、様々な症状を引き起こす疾患です。悪化すると膝を動かすたびに痛みが起こり、膝の曲げ伸ばしが困難になり、重症化した場合は歩くことが難しくなります。
状態によっては手術を検討する必要もあるため、早期検査・早期治療が大切です。
原因
加齢や肥満に伴う体重増加、膝への過度な負担やストレスなどが原因となります。
膝は体重の4〜6倍の負荷がかかると言われています。原因のうち、体重増加は生活習慣との関連性が深いため要注意です。
症状
発症すると、膝に痛みが現れたり、水が溜まったりします。
発症初期は、立ち上がるなどの動き始めに痛みが起こりますが、動作を続けたり休んだりしていると痛みは治まります。進行して中期に入ると階段の昇降が難しくなり、最終的には安静時でも痛みが生じるようになります。また、末期段階になると膝の変形がはっきりするようになり、膝を伸ばせなくなって歩くことが難しくなります。
治療法
治療は保存療法と手術療法の中から、状態に応じて適切な方が選択されます。
保存療法は運動療法や薬物療法などが含まれ、まずは保存療法に取り組みます。しかし、保存療法でも効果が不十分なケースや重症化しているケースでは、骨切り術や人工関節置換術などの手術療法を検討します。
手術後は状態を観察しながらリハビリを実施します。
半月板損傷
半月板損傷とは、膝関節にある半月板に亀裂や欠損が生じた状態です。年齢問わず起こり得るもので、損傷が長期間に及んだ場合は変形性膝関節症を引き起こす恐れもあるので、早期発見・早期治療が大切です。また、前十字靭帯損傷や内側側副靱帯損傷を合併することもあります。
原因
スポーツや日々の生活の中で、膝をひねったり、強い衝撃がかかったりすることが原因となります。特に高齢者は、不意に起こった衝撃や転倒が原因で生じることもあります。
症状
主な症状は、膝を曲げ伸ばした時や運動時に起こる痛みです。重症化した場合、膝に水が溜まったり、突然歩くことが難しくなったりします(ロッキング)。また、痛みが激しいせいで動くこともできなくなる可能性もあるため、可能な限り早めに診察を受けることをお勧めします。
治療法
治療は、保存療法と手術療法の中から、状態に応じて適切な方が選択されます。
まずは保存療法が選択され、消炎鎮痛剤などの内服、ヒアルロン酸注射、物理療法などが行われます。しかし、保存療法では効果が不十分なケースや重症化しているケースでは、手術療法を検討します。
なお、手術後は、運動療法などのリハビリテーションが必要です。
オスグッド・シュラッター病
オスグッド・シュラッター病は、膝下の骨が突出し、痛みが生じる疾患です、10〜15歳頃の男性によく見られ、なかでもスポーツをしている方に起こりやすい疾患です。
原因
スポーツ中の動作(ダッシュ、ジャンプ、キック)により、膝の皿の下の骨に何度も負荷がかかることで発症します。発育期の子どもの骨は柔らかく、大きな負荷がかかると骨が乖離してしまいやすいため、腫れや痛みが現れます。
症状
膝の皿の真下にある腱を酷使することで、その腱が付着する骨が剥がれて痛みが起こります。他にも、腫れや赤み、熱感などが現れることもあり、一旦痛みが治まったとしても、運動を再開すると痛みが再発するため、注意しましょう。
ジャンパー膝も似たような症状が現れますが、痛みが生じる部分が異なります。
治療法
治療は保存療法が中心となります。痛み止めなどを用いる薬物療法、安静にする(運動などを控える)、運動療法などのリハビリテーションが有効です。
なかでも、運動を早めにストップする「安静保存療法」は、変形もきれいに改善することが期待できるため、可能な限り早めに当院までご相談ください。
膝靭帯損傷
膝関節には、前十字靭帯、後十字靭帯、内側側副靭帯、外側側副靭帯の4本の靭帯があります。
膝の靭帯損傷はスポーツや外傷など、膝に強い力がかかった際に起こり、力のかかり方によって損傷する靭帯が異なります。
原因
膝の外反強制(すねを無理に外側に向けられる)により内側側副靭帯損傷が、内反強制(すねを無理に内側に向けられる)により外側側副靭帯損傷が起こります。
また膝の内外反強制にねじれの力が加わったり、膝の過伸展などで前十字靭帯損傷が起こり、すねに無理な後方への力が加わると後十字靭帯損傷が起こります。
場合によっては、複数の靭帯損傷、半月板損傷、骨挫傷などを合併することもあります。
症状
受傷直後は激しい痛みが生じ歩行困難となることもあります。靭帯は関節を安定化させる働きもあるため、靭帯が断裂してしまうと、関節がグラグラする、力が入らない、思うように動かせなくなるなどの症状が現れます。他にも靭帯が断裂することで出血し、膝関節内に血液が貯留して腫れが生じることもあります。
治療法
治療は、側副靭帯損傷と後十字靭帯損傷では装具やギプス固定で安静にして保存加療を行うことが多く、前十字靭帯損傷では、靭帯再建術の手術を行うことが多いです。
前十字靭帯損傷
前十字靭帯が損傷・断裂すると膝の不安定性が強くなり、変形性膝関節症が進行することが多いため、スポーツをあまりしない中高年の方でも手術をした方が将来のためには良いと言えます。
原因
受傷機転は大きく2つに分けられ、ラグビーや柔道のなどで受傷する接触型と、バスケットボール、バレーボールなどでジャンプの着地の際に受傷する非接触型があります。
症状
損傷時に激しい痛みとともに、「ブツッ」という靭帯が切れた音が聞こえることがあります。また、靭帯が断裂することで出血し、膝関節内に血が貯留して腫れが生じることもあります。数日~数週間で歩けるようになる場合もありますが、膝の不安定な感じは続きます。
治療法
治療は、保存療法と手術療法の中から、状態に応じて適切な方が選択されます。
前十字靭帯が切れてしまうと自然に元通りになることは滅多にないため、スポーツの復帰を希望される方はほとんどの方が手術療法を実施します。
保存療法では、サポーターを用いて負担のかからないように関節の可動域を広げていく「可動域訓練」や、筋力がこれ以上低下しないようにリハビリを実施します。
一方、手術療法では、損傷していない方の膝の近くから移植に適した腱を一部採取し、新しく靭帯を作り直す「前十字靭帯再建術」を実施します。
内側側副靱帯損傷
関節の内側に位置する大腿骨と脛骨を接合する靭帯が損傷した状態です。この靭帯は「内側側副靱帯」と呼ばれ、膝に強い衝撃が加わることで断裂します。断裂すると痛みが起こり、半月板損傷や前十字靭帯損傷を合併していることもあるので、注意が必要です。
原因
膝に外側から強い衝撃が加わり、膝が内側に押されることで、内側側副靱帯が損傷・断裂してしまいます。特に、ラグビーやアメリカンフットボール、アイスホッケーなどの選手同士の衝突が多いスポーツをしている方は要注意です。なお、外側からの衝撃がなくとも、膝を極度にひねったり、膝が内側に入ったり(ニーイン)することで起こることもあります。
症状
膝の内側の痛みが主な症状です。また、腫れや可動域の制限が起こることもあり、悪化した場合は歩くことが難しくなることもあります。さらに悪化した場合、脚をピンと伸ばせないこともあります。
治療法
治療は、保存療法と手術療法の中から、状態に応じて適切な方が選択されます。
まずは保存療法が選択されますが、保存療法では効果が不十分なケースでは、手術療法を検討します。
ジャンパー膝(膝蓋腱炎)
ジャンパー膝(膝蓋腱炎)は、その名の通りバレーボールやバスケットボールなどでジャンプや着地を何度も行うことによって膝蓋腱が損傷して炎症が生じる疾患です。膝蓋腱は、膝蓋骨(膝の皿)に付着しており、膝を伸ばす際に使われます。
症状
10代のスポーツをしている男性に多く、運動時に発生する膝前面の痛み、熱感、腫脹などの訴えがあり、うつ伏せの状態で膝を大きく曲げる動作をすると、太ももの前方に痛みが強く現れ、その痛みを避けようとお尻が上がる「尻上がり現象」も見られます。
治療法
治療は、物理療法や運動療法などの保存療法を中心に行います。
物理療法では、機器を利用して、血行改善・痛みの抑制を目指します。
一方、運動療法では、再発を予防する効果が期待できる大腿四頭筋の柔軟性の強化、体幹やや股関節の筋力トレーニングなどを実施します。
当院では、問診・検査にて患者様の状態を正確に把握し、適切な治療方針をご提案します。まずは状態を把握することが重要ですので症状が気になる方はお気軽に当院までご相談ください。
ランナー膝(腸脛靭帯炎)
ランナー膝(腸脛靱帯炎)、サイクリングやランニングなどをする方によく見られる疾患で、過度に膝に負担がかかる運動が原因で起こります。
腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)とは、太ももの骨である大腿骨の外側を通り、膝下に位置する脛骨まで伸びている靱帯を指します。激しい運動により、膝関節と腸脛靭帯が繰り返し摩擦して炎症が生じることで、痛みが現れます。
原因
膝を酷使すること(オーバーユース)が原因で起こります。サイクリングやランニングなどをする方によく見られる疾患で、スポーツ選手など日頃から膝を酷使している方は再発しやすいです。また準備運動をしっかりしない方や体が硬い方も発症することがあります。
症状
膝の外側に痛みが現れます。腸脛靱帯が何度も摩擦することで起こる炎症も症状の1つとして考えられます。
治療法
患部を冷やし安静にすることが重要となります。また、必要によっては痛み止めを内服することもあります。手術は滅多に実施されませんが、何度も再発する場合は腸脛靱帯の部分切除や延長術の実施を検討します。
ランナー膝と診断された場合、すぐに休むようにしましょう。
膝の痛みでお困りの方は当院までご相談ください
膝は、立つ・歩く・走るなどの日常動作を行うために必要な部位です。そのため、膝に違和感を覚えた方は、そのままにしておかず、可能な限り早めに受診してください。
例えば、ランナー膝は治療せずにいると、変形性膝関節症などの関節疾患に繋がる可能性もあり、重症化してしまった場合は日常生活に支障をきたす恐れがあります。当院では、患者様の希望を尊重し、適切な治療方針をご提案します。悪化させないためにも、早めに当院までご相談ください。