再生医療・PRP(多血小板血漿)療法

再生医療とは

再生医療とは 再生医療は、外傷や疾患が原因で機能低下・不全になった部位に、細胞や人工材料を用いて、機能の再生を図るものです。

整形外科分野における再生医療

再生医療の一種であるPRP(多血小板血漿)治療は、新しい治療法として整形外科分野でも関心が集まっています。 PRP治療は、患者様自身の血液から抽出したPRPを、関節や筋肉などの患部に直接注射して、自己治癒力をサポートして改善に導く治療法です。
当院では主に関節に対してPRP治療を実施しています。

PRPと創傷治癒について

PRPは、患者様の血液から血小板や一部の白血球などを凝縮した血漿を活性化させたものを指します。
血小板は傷の治癒過程において大切な働きを持っています。具体的には、血液を凝固する働き、損傷した組織を修復するための成長因子を放出する働きがあります。この2つの働きは、皮膚以外にも、筋肉や骨、靭帯、腱、それらによって成り立つ関節などの組織にも影響します。
しかし、これらの働きのバランスが崩れてしまうと、自然治癒力が弱まり、外傷や疾患の回復の進みが悪くなってしまいます。
PRPは血小板を大量に含んでいるため、患部に直接注射すると自然治癒力をサポートし、回復に導いてくれます。

PRP治療の歴史

PRP治療は、欧米では10年以上前から普及しており、スポーツ外傷・障害に対しても行われています。海外でプレーしている日本の選手がPRP治療を受けて肘の靭帯損傷から回復したこともニュースなどで報じられています。日本においても数年前から多くの医療機関で用いられるようになりました。

関節のPRP治療

関節に対して行うPRP治療は、痛みや炎症を抑える効果が治療開始後から3週間程度経ってから現れ始め、3〜6ヶ月間続きます。治療は複数回行えますが、治療間隔は4ヶ月あける必要があります。

関節のPRP治療

関節へのPRP治療では、変形性膝関節症などに見られる、関節の軟骨部分にある軟骨破壊成分や炎症成分を放出する細胞に作用し、細胞を元の状態に戻します。 その結果、軟骨・血管に必要なコラーゲンが産生され、炎症や血管新生を抑える細胞が増え、炎症・軟骨破壊が抑制されます。また、元の状態に戻った細胞は軟骨を守るようになります。

当院ではセルソース社(http://www.cellsource.co.jp)のPFC-FDと呼ばれる血小板由来成長因子濃縮液を保存の効くフリーズドライの形状にしたものを生理食塩水で溶かして関節内に投与します。PFC-FDは自分の血液から作られるため拒絶反応や副作用はほとんどありません。

関節に対するPFC-FD治療の流れ

問診やレントゲン検査などの各種検査を実施し、PFC-FD治療の適応があるかどうかを確認します。事前診察は保険が適用されます。 PFC-FD治療が適応だった場合、治療日の予約をお取り頂きます。 なお、初日に治療を希望される場合、診察も保険が適用されません。また別途で初診料がかかります。

Step1:初回予約日

初回の予約日に採血を実施します。採血量は治療する部位の関節の数によって異なり、1関節では50ml、2関節では100mlとなります。
採取した血液は特定加工物製造施設に送り採取した血液の感染症検査の結果が問題なければPFC-FDを精製します。精製には3週間ほどかかります。※感染症検査(HIV、B型肝炎、C型肝炎、梅毒、HTLV-1)で陽性が出た場合は治療は中止となります。

Step 2:PFC-FD投与

初回から3週間後以降の第2回予約日に精製されたPFC-FDを無菌の生理食塩水で溶かして関節内に注射します。

Step 3:第3回予約日

1回目の投与を半分量にして、1回目から3〜4週間の期間をあけて、2回目に残りの半分量を注射することも可能です。

Step 4:注射後

PFC-FDの注射後は院内にて5分ほど安静にしてから帰宅して頂きます。注射後3~4日間は関節に痛みや腫れなどを感じる場合があります。

注射後の注意点

  • 1・2回目いずれも、安静後にご帰宅頂けます。 注射後は痛み止めを処方しますが、痛み止めを服用した場合、ご自身での車の運転は控えてください。
  • 当日は禁酒・禁煙としてください。入浴はシャワーに留めておきましょう。
  • 治療後は定期的に通院して頂きます。
  • 注射後は通院でのリハビリテーションを行って頂くことを推奨しています。